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2018.01.18 役員退職給与の「不相当に高額」で、納税者主張が一部認められる

【法人税関係】
 東京地裁は、死亡した元代表取締役への退職慰労金の額が不相当に高額か否
かをめぐる判断で、諸事情に照らし、同業類似法人から抽出した平均功績倍率
の1.5倍の倍率は認められると判断した(平成29年10月13日判決)。
 A社は、死亡退職した元代表取締役甲への退職慰労金として4億2,000
万円を支給、損金の額に算入して確定申告したところ、税務署より「不相当に
高額な部分」(約2億円)については否認され、更正処分等を受けた。
 A社が支払った甲への退職慰労金に係る功績倍率は「6.49」であったが
、税務署が抽出したA社の同業類似法人の平均功績倍率は「3.26」。この
差が「不相当に高額な部分の金額」に該当するか否かが争点となった。
 東京地裁は、同業類似法人の平均功績倍率は、あくまでも通常存在する諸要
素の差異や個々の特殊性を捨象して平準化した平均的な値にすぎないとした上
で、「少なくとも平均功績倍率の数にその半数を加えた数を超えない数の功績
倍率」であれば退職給与として相当と認められると示唆。本件については3.
26に1.5を乗じた「4.89」として算定される役員退職給与の額につい
て特段の事情があるとは認められないから、約3億2,000万円までの部分
は退職給与として相当と認められる金額を超えるものではないと判断。納税者
の主張を一部認める判決を下した。

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