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2018.01.18 一部の収入を除外した試算表の作成は隠ぺい・仮装には該当せず

【通則法関係】
 一部の業務の収入を除外した試算表を作成していたことが隠ぺい・仮装に該
当し、重加算税を賦課できるか否かが争われていた審査請求事案で、国税不服
審判所は「隠ぺい・仮装には該当しない」として課税庁の処分を取り消した(
平成29年5月29日裁決)。
 請求人Xは、建築設計業務のかたわら、無店舗型性風俗特殊営業(いわゆる
デリヘル)を行っていた。Xは複数の店舗のうちの一部の店舗に係る業務につ
いて、その収入金額を除く一方で、必要経費を加えた試算表を作成。これにつ
いて原処分庁は、Xが「虚偽の内容を記載することにより所得金額が生じてい
ないという状況を意図的に作出し、確定申告義務がないことの説明資料として
作成した」といえるから、Xは事業所得の金額を隠ぺいして確定申告書を提出
しなかったものと認められると主張。
 これに対し審判所は、本件試算表は税理士法人によって作成されたものであ
るところ、税務調査までの間に税理士法人に対して収入を計上していない業務
を行っていることを述べていることや、調査の際に自ら進んで本件試算表を示
して確定申告義務がないとの説明をしたこともないことなどを考慮すると、所
得金額が生じない状況を意図的に作出したものとは認められず、本件試算表の
作成は、Xによる隠ぺい・仮装と評価すべき行為に該当するとは認められない
として、無申告加算税相当額を超える部分の金額を取り消した。

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