2017.11.07 65歳超雇用推進助成金
高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことができる生涯現
役社会を実現するため、65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用環境の整
備、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を行う事業主に対して助成さ
れるものです。
当助成金は3つのコースからなりますが、そのうち、65歳超継続雇用促進
コースに関しては、今年5月に助成額等が改定されています。
●概要
生涯現役社会の実現に向けて、65歳以上への定年引上げ等や高年齢者の雇
用環境整備、高年齢の有期契約労働者を無期雇用に転換した事業主に対して助
成するもので、高年齢者の雇用推進を図ることを目的としています。
●3つのコース
以下の3つのコースがあります。
1.65歳超継続雇用促進コース
2.高年齢者雇用環境整備支援コース
3.高年齢者無期雇用転換コース
●65歳超継続雇用促進コース
1.主な要件
当コースの主な要件は以下のとおりです。
(1)労働協約または就業規則により、次のA~Cのいずれかに該当する
制度を実施したこと。
A.65歳以上への定年引上げ
B.定年の定めの廃止
C.希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導
入
(2)(1)の制度を規定した際に経費を要したこと。
(3)(1)の制度を規定した労働協約または就業規則を整備しているこ
と。
(4)(1)の制度の実施日から起算して1年前の日から支給申請日まで
の間に、高年齢者雇用安定法第8条または第9条第1項の規定に違
反していないこと。
(5)支給申請日の前日において、当該事業主に1年以上継続して雇用さ
れている60歳以上の雇用保険被保険者(短期雇用特例被保険者お
よび日雇労働被保険者を除く。期間の定めのない労働契約を締結す
る労働者または定年後に継続雇用制度により引き続き雇用されてい
る者に限る。)が1人以上いること。
2.受給額(平成29年5月1日以降支給申請分から)
A.65歳以上への定年の引上げ、または、B.定年の定めの廃止
( )は引上げ幅
60歳以上
被保険者数
措置内容
A
B
65歳まで引上げ
66歳以上に引上げ
定年の
定めの
廃止
(5歳未満)
(5歳)
(5歳未満)
(5歳以上)
1~2人
20万円
30万円
25万円
40万円
40万円
3~9人
25万円
100万円
30万円
120万円
120万円
10人以上
30万円
120万円
35万円
145万円
145万円
C.希望者全員を対象とした66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度
の導入
( )は引上げ幅
60歳以上
被保険者数
措置内容
C
66~69歳まで
70歳以上
(4歳未満)
(4歳)
(5歳未満)
(5歳以上)
1~2人
10万円
20万円
15万円
25万円
3~9人
15万円
60万円
20万円
80万円
10人以上
20万円
75万円
25万円
95万円
※定年引上げと継続雇用制度の導入を合わせて実施した場合でも、支給額は
いずれか高い額のみとなります。
また、1事業主当たり(企業単位)1回限りとなります。
●高年齢者雇用環境整備支援コース
1.主な要件
当コースは、高年齢者の雇用環境を整備するための措置を次の(1)~(
2)によって実施した場合に受給することができます。
(1)雇用環境整備計画の認定
高年齢者の雇用環境整備のため、次の[1]~[2]のいずれかの
支給対象措置に係る「雇用環境整備計画」を作成し、(独)高齢・
障害・求職者雇用支援機構理事長に提出してその認定を受けること。
[1]機械設備、作業方法または作業環境の導入または改善による
既存の職場または職務における高年齢者の雇用の機会の増大
[2]高年齢者の雇用の機会を増大するための能力開発、能力評価
、賃金体系、労働時間等の雇用管理制度の見直しもしくは導
入または医師もしくは歯科医師による健康診断を実施するた
めの制度の導入
(2)高年齢者雇用環境整備の措置の実施
(1)の雇用環境整備計画に基づき、当該雇用環境整備計画の実施
期間内に支給対象措置を実施すること。
2.受給額
(1)雇用環境整備計画の期間内にかかった支給対象経費(※)に60%
(中小企業以外は45%)を乗じて得た額または、支給申請日の前
日において当該事業主に1年以上雇用されている60歳以上の雇用
保険被保険者のうち支給対象措置の対象となる者の数に28.5万
円を乗じて得た額のいずれか少ない方の額を支給します(上限額1
,000万円)。
(2)生産性要件を満たした事業主については、雇用環境整備計画の期間
内にかかった支給対象経費(※)に75%(中小企業以外は60%
)を乗じて得た額または、支給申請日の前日において当該事業主に
1年以上雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者のうち支給
対象措置の対象となる者の数に36万円を乗じて得た額のいずれか
少ない方の額を支給します(上限額1,000万円)。
※上記の1.(1)[2]の雇用環境整備計画に基づく措置を実施した場合に
は、当該措置の実施に30万円を要したとみなします。
ただし、1企業につき1回限りとし、2回目以降は実費を対象とします。
●高年齢者無期雇用転換コース
1.主な要件
当コースは、次の(1)~(2)によって50歳以上かつ定年年齢未満の
有期契約労働者の無期雇用労働者への転換を実施した場合に受給すること
ができます。
(1)無期雇用転換計画の認定
「無期雇用転換計画」を作成し、(独)高齢・障害・求職者雇用支
援機構理事長に提出してその認定を受けること
(2)無期雇用転換措置の実施
(1)の無期雇用転換計画に基づき、当該計画の実施期間中に、高
年齢の有期契約労働者を無期雇用労働者に転換すること
2.受給額
(1)本コースの支給額は、無期雇用転換計画期間内に無期雇用労働者に
転換された対象労働者1人につき48万円(中小企業以外は38万
円)を支給します。
生産性要件を満たした事業主については、対象労働者1人につき6
0万円(中小企業以外は48万円)を支給します。
(2)ただし、支給申請年度における対象労働者の合計人数は、転換日を
基準として、1適用事業所あたり10人までとなります。
(参考)生産性要件
助成金を申請する事業所において、「生産性要件算定シート」を用いて計算
された生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合、助成の割増等を
行います。
※生産性要件算定シートは、以下のURLからダウンロードが可能です。
生産性要件算定シート
助成金の支給申請を行う直近の会計年度における「生産性」が、
・その3年度前に比べて6%以上伸びていること
または、
・その3年度前に比べて1%以上(6%未満)伸びていること
なお、「生産性」は次の計算式によって計算します。
[生産性]=[付加価値]÷[雇用保険被保険者数]
※付加価値とは、企業の場合、[営業利益]+[人件費]+[減価償却費]
+[動産・不動産賃借料]+[租税公課]、の式で算定されます。
(注意1)
なお、本年10月受付の申請から、生産性の算定要素である「人件費」につ
いて、「従業員給与」のみを算定することとし、役員報酬等は含めないことに
なります。
(注意2)
「生産性要件」の算定の対象となった期間中に、事業主都合による離職者を
発生させていないことが必要です。