2017.12.15 相続税の基礎控除額等の引下げを受け、無申告事案を重点調査
【相続税関係】
相続税の申告義務があるにもかかわらず申告をしていないと思われる無申告事案に対して、税務当局は重点的に調査を行っている実態が国税庁のまとめで明らかになった。無申告事案に対する調査件数はもとより、把握した申告漏れ課税価格、追徴税額など軒並み前年を上回る結果となったが、これは平成27年1月から相続税の基礎控除額等が引き下げられ、納税義務者が増えている現状に的確に対応したものと見られる。
国税庁のまとめは、平成28年7月から1年間の平成28事務年度の「相続税の調査の状況について」。相続税の無申告事案に対する実地調査は971件で、前年の863件より108件増えた。うち751件で申告義務が確認され、866億円の申告漏れ課税価格を把握。追徴税額は相続税の本税と加算税を合わせて69億円にのぼり、いずれも前年を上回った。同年度の調査対象は平成26年中の相続事案が中心だが、基礎控除額等が引き下げられた平成27年中の事案も含まれており、「より積極的に調査を行った」と同庁は説明している。
無申告事案では、税務署からのお尋ねに対して相続財産は基礎控除額以下であるとの虚偽の回答をしていた東京国税局管内の事例が見られた。調査により申告から除外されていた有価証券等が把握され、その申告漏れ課税価格は約1億6,000万円、追徴税額は加算税を含め1,800万円にのぼった。基礎控除額以下を装っていた行為が仮装・隠蔽に当たるとして重加算税が賦課されている。