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2021.04.30 従業員が妊娠・出産したら

近年は働き方改革等により、妊娠・出産した場合でも退職せずに、会社に籍を残したまま出産・育児後に職場に復帰する方が増えており、またそのための制度改正もありました。
しかし、会社として今までに産前産後休暇や育児休業を取得した方がいない場合、制度や取得方法がわからないケースが多いと思います。
ここでは、妊娠・出産から育児までの間に取得できる制度や給付金について説明したいと思います。

妊娠から出産するまで

出産予定日の6週間前(単胎妊娠の場合 多胎妊娠の場合は14週間前)から本人の申し出により産前休暇を取得することができます。
出産を控えている従業員が社会保険の被保険者の場合、産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)前の期間のうち休んだ日について給料が支給されないときに、健康保険から出産手当金が支給されます(実際の出産日が出産予定日よりも遅れた場合、その日数に合わせて支給日数が増えます)。支給される金額は、標準報酬月額のおおむね2/3です。手続きは基本的に会社が行います。

出産したとき

出産は病気ではないため健康保険が適用されませんが、出産費用を賄うために出産育児一時金が支給されます。
従業員本人と病院との間での手続きになるため、会社としては特に手続きは必要ありません。
出産育児一時金は、被扶養配偶者の出産や国民健康保険に加入している場合でも支給されます。

出産してから

出産後8週間は、産後休暇を取らせなければなりません。但し、医師が認めた場合は、6週間に短縮することが可能です。
産前休暇と同様に出産後8週間のうち休んだ日について給料が支給されないときに出産手当金が支給されます。こちらも手続きは会社が行います。

出産してから8週間が経過して産後休暇の終了後、そのまま育児休業を取得することができます。期間は産まれた子どもが1歳に到達するまでです(保育園に入れないなどの事情がある場合は最大1年まで延長可能)。
この育児休業期間は、雇用保険の被保険者であれば雇用保険から育児休業給付金が支給されます。支給される金額は育児休業前の賃金の67%(最初の6か月間)、6か月経過後は50%です。手続きは会社が行います。

その他のケース

・社会保険料の免除について
産前産後休暇や育児休業を取得した場合、その取得期間中の社会保険料(本人負担、会社負担ともに)が免除されます。免除手続きは会社が健康保険組合等に対して行います。

・悪阻(つわり)や妊娠による体調不良など
妊娠中は悪阻や体調不良などにより従来通り働けないことも多くあります。しかし出産手当金は産前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)前からしか支給されません。
その場合、医師から労務不能との診断があれば傷病手当金が支給されます。但し、傷病手当金は出産手当金と違い、3日間の待期期間(3日連続して仕事を休むこと)が必要です。待期期間には有給休暇や土日・祝日などの公休日を含むことができます。
傷病手当金と出産手当金の両方を受け取ることができる日については、出産手当金が優先され、傷病手当金は支給されません。

・配偶者が出産したとき
被扶養配偶者が出産した場合、被保険者(つまり男性)が加入する健康保険組合等に対して出産育児一時金を請求することができます。
また、男性も育児休業を取得することができます。もちろん、その取得期間に対して育児休業給付金が支給されます。男性には産後休暇がないため、出産日当日から育児休業を取得することが可能です(終わりは女性と同じく子どもが1歳に到達するまで 2歳まで延長可能)。



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