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2017.12.21 事業譲渡に伴って行われた子会社に対する債権放棄の損金算入可否

【法人税関係】
 子会社に対する債権放棄を損金算入できるか否かをめぐる争いで、東京高裁
は、子会社に対する債権放棄は経済的合理性を有していないとして、納税者の
主張を斥けた原審の東京地裁平成29年1月19日判決を支持、納税者の控訴
を棄却した(平成29年7月26日判決)。
 原審では、本件債権放棄は特別清算協定認可の決定を経たものではなく、ま
た子会社2社は倒産の危機に瀕しておらず、債権の全額が回収不能であったと
は認められないから、法人税基本通達9-4-1(子会社等を整理する場合の
損失負担等)には該当せず、さらに子会社2社が解散した後に債権放棄を行っ
ていることから、同9-4‐2(子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
の適用もないとして、納税者の請求を棄却した。
 納税者の控訴を受けた東京高裁は、金銭債権の貸倒損失を損金算入するに当
たり、「債務者の資産状況、支払能力等」もその要素として考慮すべきところ
、子会社2社の預金が重要な資産であることは明らかであり、直ちに返済に充
てることができるか否かはともかく、一定の預金の保有をもって資金状況や支
払能力等の判定の考慮要素とすることが誤りとはいえないと判断。子会社2社
が経営危機に陥っているとはいえないこと、親会社にとって損失負担等を行う
相当な理由があるとはいえないこと等の事実からすると、経済的合理性を有し
ているとはいえないと判示した。

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