2018.01.10 会計検査院も指摘する小規模宅地等の特例見直しへ
【税制改正関係】
会計検査院はこのほど、相続税関係の租税特別措置の適用状況の検査結果を
報告したが、この中で平成28年度における減収見込額が他と比べて最も多い
1,350億円に上る「小規模宅地等の特例」について、政策目的に沿ってい
ないと指摘し是正を促した。
同院が平成26・27年分譲渡所得の事績をもとに、相続した土地等を相続
税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡した2,907人の適用
状況を調べたところ、243人が小規模宅地等の特例を適用。243人が譲渡
した土地等273件の譲渡までの期間を確認すると、申告期限翌日から1年以
内が163件(うち貸付事業用宅地等は110件)、さらに1か月以内が22
件(同13件)あったことを把握した。
会計検査院は、同特例の創設の趣旨は事業又は居住の継続等に配慮すること
を目的に事業用又は居住用宅地等の相続税の課税価格を軽減するのに、同特例
を適用した土地等、特に貸付事業用宅地等について短期間しか所有していない
ケースが見受けられる状況は、「事業又は居住の継続への配慮という政策目的
に沿っていない」と指摘した。
政府・与党も同特例の節税目的利用を問題視し、適用条件厳格化の方向で一
致。平成30年度税制改正で、(1)持ち家に居住していない者に係る特定居
住用宅地等の対象者の範囲見直し、(2)貸付事業用宅地等の範囲から相続開
始前3年以内に貸付事業の用に供された宅地等を除外するなどの措置が採られ
ている。